『目の前で捌く天然うなぎの全てを堪能~♪』
~うなぎ かぶと@池袋
■今日は、“日本一のうなぎ”を食べに行ってみます。
いつもの食べログで、“全国”“うなぎ”点数順ランキングを出すと、第1位のお店が池袋にあるんです。
それが、今日訪問する“かぶと”です。“うなぎの全ての部位”を出してくれます。
ふらっと訪問しても入れないとの事前情報があったので、1ヶ月ほど前に予約をしての訪問です。
■新宿にも、うなぎの全ての部位を出してくれる“カブト”というお店があります。
新宿西口の“思い出横丁”にある、1953(昭和28)年創業の老舗です。
実は、池袋“かぶと”の店主さんは、新宿“カブト”で修行をされた後、30数年前に暖簾分けをしたそうです。それで同じ名前なんですね。
ただ、店主さんの卓越した技術とあくなき研究心で、いつの間にか本店を上回る人気店になったわけで、まさに“出藍の誉れ”の状態になっています。
■お店は、池袋駅西口を出て駅前通りを直進し、丸井のある大きな交差点を右折、2つ目の信号を越えた次の道を左折してすぐ右側にあります。徒歩8分ほどでしょうか。
お店の電気が消えているので、ちょっと焦ったのですが、お店の中から明かりがこぼれています。
19:00に予約を入れていたのですが、縄暖簾をくぐって店内に入ると、すでに一組4人のグループが、小上がりで鰻に舌鼓を打っています。
お店の看板には、俳句?のような言葉がつづられています。誰が詠んだか、どんな意味かは分かりません…( ^-^;)
『もろびとの ふかき心に わが食みし 鰻のかずを おもふことあり』

(どこにでもある、レトロ系居酒屋の外観です。電気が点いていないので、とても入りやすい雰囲気ではありません…)
■店内は、うなぎを焼く香り(煙?)が充満しています。服が臭くなりそうですが、今日はそんなことを気にしてはいけません~!
客席は、カウンター席8席と、入口すぐに1卓(4人用)、一番奥(3人用)に1卓のテーブル席があります。
店のつくりは、間口が狭く奥が深い間取りの、ごく普通の個人経営の飲み屋さんのようで、とても日本一のうなぎ店には見えません。
しかも、友人3人を誘ったのに、あいにく(?)のカウンター席。ゆっくり忘年会という感じではありません。
幹事ととしては、ちょっとバツが悪い状況です。。。
■メニューを見ると、“うなぎ”関連メニューだけです。飲み物のメニューもそんなに充実しているようには見えません。
初訪問でおすすめも分からないので、女将さんに“おまかせ”でお願いしてみました。
ここから、“うなぎ”忘年会のスタートです~♪

(必要最小限に抑えられたメニュー。でも、日本酒を楽しみながら鰻をいただくには十分なんです。)
【まずはビールで乾杯~!】

■このお店の生ビールは、サッポロビールの新しいプレミアムビール“白穂乃香”。
無濾過の樽生ビールで、きめ細かいクリーミーな泡と、まろやかで香り高い味わいです。
【冷奴】

■国産大豆と天然にがりにこだわった、入魂の冷奴です。
醤油を掛けようとすると、大将に怒られます。そのまま食べると、大豆の濃厚な甘味がダイレクトに訴えかけてきます。これは美味しい~♪
女将さんが“藻塩”を出してくれるので、付けて食べると、甘味が一層強調され、さらに美味しくなります。
【えり焼】

■ここからは、メニューにある“串焼一通り”のスタートです。うなぎのあらゆる部位を串焼きで“一通り”出してくれます。
最初の一本は“えり焼き”で、鰻の頭(かまの部分)を串焼にしたもの。意外にも柔らかくて、美味しいです。
「小骨があっても食べられますよ~」と女将さんに言われたので、しっかり噛んで食べちゃいます。
【きもわさ】

■新鮮なうなぎの内臓を茹でたもので、わさびを入れたポン酢でいただきます。
女将さんから「良く混ぜてからお召し上がり下さい」と言われたので、しっかり混ぜて一口食べると、弾力のある食感です。
うなぎの内臓は苦いのでは?という先入観があったのですが、見事に裏切られます。
全く苦味がなく、良い意味でのうなぎ臭さと張りのある食感を楽しむ珍味なんですね。
紫蘇の葉と柚子片も良いアクセントになっています。
【ひれ焼】

■こちらは、うなぎの背びれ、尾びれ、胸びれです。
うなぎの美味しい脂分がほんのり付いていて、柔らかな食感と七輪焼きの風味が堪りません。
【これから捌かれる“うなぎちゃん”】

■こちらが後で“白焼”“御蒲焼”として出てくる国産の“うなぎちゃん”です。
カウンター席からは、生きている鰻も、大将の熟練の技術も全て見ることができるんです。実は特等席だったんですね~♪
鰻のサイズはそれほど大きくないのですが、見るからにピチピチと張りがあって、めちゃくちゃ元気にくねくねしています。
緑色に見えるのが天然物、黒っぽいのが養殖物です。仕入地は、利根川、相模湾など、季節によっていろいろ変わるそうです。
【名物大将】

■日本一の腕前と、日本一気さくさ(時々毒舌~!)で有名な大将です。
うなぎを一匹捌くのに、10秒とかからない早業で、捌いた後の背骨や頭がぴくぴく動いているのには度肝を抜かれます。
【御新香】

■途中で、箸休めに出てきた御新香。ここら辺で、日本酒を投入します~♪
【純米原酒 ゆうき 生貯蔵】

■長野県佐久市のお酒で、無農薬・有機栽培で育てた酒米(美山錦・ひとごこち)のみを原料としています。
口当たりが華やかで、甘く感じますが、しっかりと切れがあるので、すっきり飲むことができます。
切れがあるのは辛口!と思い込んでいたので、かなりショックです… 20年以上も日本酒党なのに…
【うなぎの心臓】

■大将が素手で、お酒の入った小皿に、うなぎの心臓を載せてくれます。
「噛まずに一気に飲み込んで!」と言われるまま、お酒と一緒に飲み込みました。
もちろん味はしないのですが、すごく精が付きそうです~♪
【きも焼】

■こちらは、うなぎの心臓だけではなく、内臓一式を串焼にしたものです。
こちらも“きもわさ”と同じく、一般的な魚の内臓の苦味が全くありません。
「どんな魚の内臓も、新鮮なら苦味なんてないんだよ~!」という大将のコメントに納得させられます。
【一口蒲焼】

■メインの御蒲焼の前に、“一口蒲焼”でちょっとだけメインディッシュを味わいます。
蒸していないので、身はぎゅっとしまっています。噛むと脂の旨味がじわっと染み出してきます。
皮の部分の軽いパリッと感を合わせて、複層的な食感と旨味で、口の中を“うなぎワールド”に変えてくれます。
【純吟むろか 狸庵 生原酒】

■こちらは群馬県館林のお酒で、山田錦を原料にした無濾過の生原酒です。
味の方向性は一杯目の“ゆうき”に近く、華やかな香りとふくよかな味わいが美味しいお酒です。
開けたてのお酒と、開けて数日経つお酒を両方味見させてもらったのですが、不思議なことに数日立った方が味に丸みがあって美味しいんです。
「新しい一升瓶を開けて、有難がっている奴がいるけど、そんなのはダメだ~!」と、大将の毒舌も全開です~♪
【白焼】

■「これが不味かったら、二度と来ないでくれ~!」と大将が言ってはばからない一品がこれです。
捌いたばかりの鰻を、蒸さずにいきなり串刺しにして、七輪で焼いたものです。
鮮度が低い鰻でも、蒸すと身が柔らかくなり、脂が染み出すらしいのですが、脂のしつこさが出てしまうんだそうです。
確かにこの白焼は、鰻の脂由来の旨味はしっかりあるものの、しつこさが全くありません。
身が引き締まっているので、適度な歯応えに、旨味が噛んで初めて染み出します。
そのまま食べても十分美味しいのですが、藻塩と岩塩を出されるので、時々付けて食べてみます。
すると、うなぎの旨味が塩味で引き立てられる感じがして、一層美味しく感じます~♪
【大信州 -別囲い 純米大吟醸 ひやおろし】

■これは名前の通り、長野県松本のお酒で、信州産の金紋錦を原料に使っています。
これも端麗・甘口・芳醇系の美味しいお酒で、味の方向性は上の2杯とほぼ同じです。
せっかくの美味しいお酒なのに、だんだんお酒が回ってきて、細かい分析ができなくなってきます…
【れば焼】

■こちらは、非常に珍しい鰻の“肝臓”を串焼にしたものです。
臭みがまったくなく、ぷりっとした食感が独特な珍味です。初めて体験する食感です。
【御蒲焼】

■メインディッシュの“御蒲焼”です。タレは一般的なイメージと違って、さらっとしています。
味があまり付いていないのでは?と思いきや、食べてみるとしっかり味が付いています。
このタレは、脂の乗った鰻を引き立てるような、出過ぎていないところがいいですね。
【白米】

■ただの“ご飯”だと思っていたのですが、こだわりの大将がただのご飯を出すはずがありません。
「うちのご飯は、それだけでも一品として美味しく食べられるから~!」
一口食べてみると、これも納得です。噛んで染み出す甘味・旨味が半端ありません。
贅沢にも、このご飯の上に、一匹分の大きな蒲焼を載せていただきます。この上ない幸福感が押し寄せてきます~!
【純米大吟醸 三割九分】

■こちらは、長野県佐久のお酒で、お米(美山錦)を39%まで磨き上げて作るのでこの名前が付いているそうです。
これも、芳醇なで華やかな香りのお酒です。この系統の味が鰻と合うのか、大将・女将が好きなのか分かりませんが、自分もすごく好きになりました。
4杯目まで来ると、めちゃくちゃ美味しい日本酒なのに、個別のお酒の印象が薄くなってきます。もったいない。。。(T_T)
【きも吸】

■最後の締めは、やはり“きも吸”です。
入っている内臓が新鮮なせいか、今まで食べたことがあるものと比べると、弾力のあるぷりっとした食感です。
だしのやさしい味わいが、胃の中を落ち着かせてくれます。
■時計の針が、そろそろ21時を指そうとしています。
そろそろお店を出ようとしていたのですが、大将から「そろそろいいですかね?」と声を掛けられました。
どうやら、21時スタートのお客さんの予約があるようです。夜の部は1日2回転みたいですね。
■総括としては、“うなぎを味わい尽くす”ということがどういうことなのか、初めて実感させてもらえる、まさにうなぎの名店です。
今までは、蒸してふっくらした鰻が良いと思っていたり、鰻の内臓は苦いと思っていたのですが、いずれも間違いでした。
新鮮で良質な鰻を捌いてすぐに食べると、鰻の身はもっちり、しっかりしている上、脂が乗っているのに、くどさはかけらもありません。
内臓も、全く苦味はなく、ぷりぷりした食感を楽しむ珍味になっちゃうんですね。
さらに、大将・女将が、出すもの全てにこだわりを持っているので、豆腐、ごはん、日本酒、いずれを取っても申し分ありません。
気さくな店主さんとのコミュニケーションが必要なので、人によっては好き嫌いがあるかもしれませんが、自分は楽しませてもらいました。
(予約をした都合上、大将からは苗字で呼ばれていたのですが、それも心地よくて、時にスパイシーなトークも堪能させてもらいました。)
うなぎの全ての部位を堪能して、しっかり2匹分の焼物、絶品の日本酒をしこたま飲んで、お勘定は一人当たり1万円ちょっと。ありえないサービス価格でした。
次回は、隊長と一緒に訪問し、もっと“うなぎ”自体に集中して味わってみたいと思います。
ごちそうさまでした~!!
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ジャンル : グルメ